岩谷時子賞

岩谷時子賞

加山雄三さんは、1937年生まれで、今年で80歳を迎えられました。1961年、映画『大学の若大将』に主演され、大人気となった「若大将シリーズ」がスタートしました。歌手としては1965年に岩谷先生作詞の『君といつまでも』が大ヒット。以後、作曲・弾厚作(だん こうさく)、作詞・岩谷時子のコンビで、『お嫁においで』など数々のヒット曲を世に送り出してこられました。岩谷時子とのコンビ曲は、149曲にものぼります。2014年には、77歳にして日本武道館単独公演最年長記録を樹立され、47都道府県全県でのツアーを成功させました。また、同年秋の叙勲にて旭日小綬章を受賞。加山さんは2010年に「第1回岩谷時子賞特別賞」を受賞されています。その後も変わらないご活躍に敬意を表し、今回の授賞となりました。


斉藤由貴さんは、1985年に「卒業」で歌手デビューされ、同年のドラマ「スケバン刑事(デカ)」の主演・麻宮サキ役で一世を風靡されました。歌手としての代表曲に「悲しみよこんにちは」「夢の中へ」などがあります。舞台女優として、岩谷先生訳詩の『レ・ミゼラブル』日本初演ではコゼット役を演じ、2012年の『シャンソンde越路吹雪/ラストダンス』では、岩谷時子役を熱演。主な出演作品は、1985年の相米慎二監督作「雪の断章 情熱」、1991年の森田芳光監督作「おいしい結婚」、1986年のNHK連続テレビ小説「はね駒」、1989年の「はいすくーる落書」、2006年の「吾輩は主婦である」など多くを数えます。今後も出演予定作品がいくつも控え、日本を代表する女優として活躍を続けていらっしゃいます。


瀧山久志さんは、大阪芸術大学卒業後、2007年劇団四季随時オーディションに合格され、2008年より『オペラ座の怪人』で四季の舞台に初参加されました。その後も『サウンド・オブ・ミュージック』『劇団四季フェスティバル!扉の向こうへ』など劇団四季中心に活動し、2015年4月、劇団に入団されました。同年5月には、ディズニーと劇団四季の提携第4弾『アラジン』のジーニー役でオープニングキャストとなり、艶のある歌声とコメディタッチの演技で観客を魅了しています。また『キャッツ』では、アスパラガス=グロールタイガー、バストファジョーンズを演じるなど、ますます役の幅を広げ、四季のメインキャストとして、今後さらなる活躍が期待される俳優の一人です。


野田あすかさんは、宮崎県在住の発達障害を抱えるピアニストです。子どもの頃から、人の顔が覚えられず、また、人とのコミュニケーションがうまくとれませんでした。中学、高校ではそれが原因でいじめを受け、自傷行為が始まり、転校を余儀なくされます。知的障害はないため、宮崎大学に入学するも、人間関係によるストレスで過呼吸発作を起こし、入退院を繰り返して、大学を中退。22歳で初めて生まれつきの脳の障害である「発達障害」であると診断されました。また、その頃、パニックで自宅1階から飛び降りて、右足を粉砕骨折し、現在は工夫してピアノのペダルを左足で踏んでいます。最近は自分の心を表現した自作曲も、数多く作曲。たくさんの試練を経験したことで、野田あすかさんの奏でる「やさしいピアノ」は、多くの人々の感動を呼んでいます。昨年10月に行った初リサイタルは大好評で、今年3月の築地・浜離宮朝日ホールでは、2日連続の満席完売。来年は全国ツアーの計画もあり、今後の活躍がますます期待されているピアニストです。


生田絵梨花さんは、2011年8月、乃木坂46・1期生オーディションに15歳で合格されました。デビューシングルから現在まで、本人参加の全てのシングルで選抜メンバーとして活動する乃木坂46の主要メンバーの一人です。また、グループの活動と並行して舞台女優への道も歩み始め、ミュージカル「虹のプレリュード」のルイーズ役、「リボンの騎士のサファイア役、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」のジュリエット役を演じてこられました。そして2017年、日本初演30周年となるミュージカル「レ・ミゼラブル」のコゼット役として、夢だった帝国劇場の舞台に立つことができました。その演技力は高く評価され、女優としての期待値も高いほか、持ち前のセンスでバラエティー番組への出演も多く、幅広く活躍しています。



また、2011年からスタートし、今年で7回目を迎えた音楽・芸術を志す若い方々を応援する「岩谷時子 Foundation for Youth」には、バイオリニストの服部百音さんが選ばれました。


服部百音さんは、現在、東京音楽大学付属高校特別特待奨学生です。2009年、リピンスキ・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールのジュニア部門で史上最年少第1位及び特別賞を受賞。2013年のノヴォシビルスク国際ヴァイオリン・コンクール、および2015年のゴールドシュタイン国際ヴァイオリン・コンクールでグランプリを受賞されるなど、今、世界中で高い注目を集めている新進気鋭のヴァイオリニストとして活躍しています。2016年10月デビューCD「ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番、ワックスマン:カルメン幻想曲」を発表され、『レコード芸術』誌特選盤等、高い評価を受けています。今年11月には、東京・大阪・名古屋・札幌にてリサイタル・ツアーを予定しています。

審査委員<五十音順 敬称略>

川口 真(作曲家)
草野浩二(音楽プロデューサー)
都倉俊一(作曲家)

2017年6月12日 パレスホテル東京にて授賞式開催

授賞式
左から市村正親、生田絵梨花、斉藤由貴、岩谷時子(写真)、加山雄三、瀧山久志、野田あすか、服部百音<敬称略>

「岩谷時子賞」を受賞された加山雄三さん。生前の岩谷時子とのエピソードを披露したり、80歳を超えてもミュージシャンとして活躍する秘訣などを語られた他、代表曲「君といつまでも」を披露され、会場は大いに盛り上がりました。

「岩谷時子賞 特別賞」を受賞された斉藤由貴さん。受賞の喜びのお気持ちと、生前の岩谷時子と初めて会った際のエピソードを披露して下さいました。

「岩谷時子賞 奨励賞」を受賞された瀧山久志さん。ステージでは、自身がジーニー役を演じられるミュージカル「アラジン」より『理想の相棒ーフレンド・ライク・ミー』を熱唱。客席との掛け合いも楽しい、素敵なパフォーマンスを披露されました。

「岩谷時子賞 奨励賞」を受賞された野田あすかさん。自身で作曲された『哀しみの向こう』をピアノの優しい音色で表現し、大きな拍手を浴びていました。

「岩谷時子賞 奨励賞」を受賞された生田絵梨花さん。現在出演中のミュージカル「レ ミゼラブル」より『プリュメ街』を歌い、透き通った歌声を会場に響き渡らせていました。

「岩谷時子 Foundation for Youth」を受賞された服部百音さんは「無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番 第4楽章」をステージで演奏し、その音色で出席者を魅了しました。