岩谷時子賞

岩谷時子賞

渡辺謙さんは、1983年デビュー。1987年NHK大河ドラマ『独眼竜政宗』に主演。他、数々のテレビドラマ、映画、舞台に出演されている、日本を代表する俳優です。『ラストサムライ』(2003年)で、第76回アカデミー賞・第61回ゴールデングローブ賞助演男優賞にノミネートされた他、『バットマン ビギンズ』『SAYURI』『硫黄島からの手紙』『ダレン・シャン』『インセプション』『シャンハイ』『GODZILLA』『追憶の森』と多くの海外作品に出演されています。ブロードウェイミュージカル『The King and I(王様と私)』に日本人俳優として初めて主演。第69回トニー賞ミュージカル部門主演男優賞にもノミネートされたことが評価され、今回の受賞となりました。


新妻聖子さんは、2002年に芸能界デビューを果たした後、2003年、5,000倍のオーディションを突破し、ミュージカル『レ・ミゼラブル』 エポニーヌ役で初舞台。以降、『ミス・サイゴン』キム役など、ミュージカル界屈指の歌姫として活躍されている女優・歌手です。第31回菊田一夫演劇賞、第61回文化庁芸術祭演劇部門新人賞を受賞されました。その豊かな表現力と、力強くかつ美しい歌声は唯一無二と評されています。昨年リリースしたミニアルバム『SEIKO』を携え開催されたコンサートはチケットの即日完売が続出、今年8月には超大作ミュージカル『王家の紋章』への出演も決定。 秋には自身初の全国でのコンサートツアーも発表され、またドラマやバラエティ番組でもその存在感を発揮するなど活動は多岐に亘り、今後の活躍がますます期待される実力派として注目を集めています。


戸田奈津子さんは、これまでに1500本以上の作品を手がけ、日本における映画字幕翻訳を代表されるお一人です。狭き門であった映画字幕翻訳を志し、長い下積みを経て、1970年に「野生の少年」「小さな約束」などの字幕を担当。その後、1980年の話題作「地獄の黙示録」で、本格的なプロとなられました。それからは、「E.T.」「フォレスト・ガンプ」「タイタニック」「ラスト・サムライ」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「アバター」「ジュラシック・ワールド」「ミッション・インポッシル 5」など時代を彩った名作の字幕翻訳を数多く手がけた他、来日する映画人の通訳も依頼され、長年の友人も多くいらっしゃいます。


また、2011年からスタートし、今年で6回目を迎えた音楽・芸術を志す若い方々を応援する「岩谷時子 Foundation for Youth」には、クラリネット奏者の井上朋実さんと、バイオリニストの吉田南さんが選ばれました。

井上朋美さんは、国立音楽大学を首席で卒業時に武岡賞を受賞。同大学卒業演奏会に出演。大学代表として皇居内桃華楽堂にて皇后陛下主催の御前演奏会に出演。大学からの推薦により、第34回ヤマハ管楽器新人演奏会クラリネット部門に出演。第6回ヤング・クラリネッティストコンクール入選、パルテノン多摩賞受賞。第9回クラリネットアンサンブルコンクール第一位、同時にグランプリ受賞。2014年第1回NONAKAクラリネット・アカデミーにてフィリップ・ベロー氏のマスタークラスを受講、同時にセルマー・パリ奨励賞を受賞。奨励賞受賞記念としてアクタス ノナカ・ アンナホールにてジョイントリサイタルを開催されました。今後、フランスに留学を予定されています。

吉田南さんは、現在桐朋女子高等学校音楽科3年特待生でいらっしゃいます。2010・2012年「第64・66回全日本学生音楽コンクール」小・中学校の部第1位。2014年「第8回日本音楽コンクール」第1位、増沢賞・岩谷賞・E.ナカミチ賞・レウカディア賞・鷲見賞受賞。2015年「第11回シベリウス国際コンクール」入選、最年少ファイナリストとしてヘルシンキフィルハーモニー管弦楽団・フィンランド放送交響楽団と協演。国内でも大阪フィル・京都市響・東京響・東京フィル・神奈川フィル等オーケストラとの協演多数。室内楽ではN響首席奏者や清水和音氏との協演の他、シュエット弦楽四重奏団 第1バイオリン奏者として活動されている、将来有望な若手バイオリニストです。

審査委員<五十音順 敬称略>

川口 真(作曲家)
草野浩二(音楽プロデューサー)
都倉俊一(作曲家)

2016年6月13日 パレスホテル東京にて授賞式開催

授賞式
左から竹下景子、吉田南、戸田奈津子、岩谷時子(写真)、渡辺謙、新妻聖子、井上朋実<敬称略>

「岩谷時子賞」を受賞された渡辺謙さん。昨年トニー賞ミュージカル部門主演男優賞にノミネートされたブロードウェーミュージカル「王様と私」で主役を務められた際のエピソードや、岩谷時子賞受賞の喜びの気持ちを語られました。

「岩谷時子賞 特別賞」を受賞された戸田奈津子さん。ご自身の手がけられている映画字幕翻訳と岩谷時子が手がけていた訳詞を比較されながら、それぞれの仕事の違い、映画の魅力についてお話しされました。

「岩谷時子賞 奨励賞」を受賞された新妻聖子さん。ステージでは、自身がキム役を演じられたミュージカル「ミス・サイゴン」より『命をあげよう』を披露され、その伸びやかで素晴らしい歌声に、惜しみない拍手が贈られました。

「岩谷時子 Foundation for Youth」を受賞された井上朋実さんは、バッシ作曲「リゴレット幻想曲」を披露。ピアノとの競演で、クラリネットの素晴らしい音色を会場いっぱいに響き渡らせました。

同じく「岩谷時子 Foundation for Youth」を受賞された吉田南さんは、クライスラー作曲「レシタティーボとスケルツォカプリス」をステージで演奏し、その繊細かつ力強い演奏で観客を魅了しました。