岩谷時子賞

岩谷時子賞

竹内まりやさんは、1978年11月、シングル「戻っておいで・私の時間」でデビューされた日本を代表するシンガー・ソングライターです。「September」、「不思議なピーチパイ」などがヒット。結婚後は作家としても「けんかをやめて」「元気を出して」「駅」など、多くの作品を他アーティストに提供しながら、1984年に自らもシンガー・ソングライターとして活動を再開。以降、独自のスタンスを守りながら音楽活動を続けていらっしゃいます。2008年にデビュー30周年を記念してリリースしたコンプリート・ベスト・アルバム『Expressions』が2012年12月、出荷100万枚を達成。1994年に発表したベスト・アルバム『Impressions』に続き、ベスト盤において2作連続でミリオンを超える快挙を成し遂げたほか、デビュー35周年を迎えた2014年、7年ぶりのオリジナル・アルバム『TRAD』をリリース、第56回日本レコード大賞「最優秀アルバム賞」を受賞。また、33年ぶりとなる6都市9公演の全国ツアーも行い、約75,000人を動員しました。今回の岩谷時子賞の受賞は、自らの作品はもちろんのこと、数多くのアーティストに提供した楽曲が世代を超えて多くの人々の支持を得ており、その功績が称えられたものです。


前田憲男さんは、編曲家・ジャズピアニストです。幼少時より父親から読譜を学び、以後独学でピアノを習得。高校卒業と同時に、関西のライブでプロ入りを果たしました。1955年上京。沢田俊吾とダブルビーツ始め、1957年より名門ウエストライナーズに在籍。この頃からピアニストとして高い評価を得ていましたが、やがてアレンジャーとしても才能を発揮。国内のジャズ、ポピュラーシンガーのステージや、レコーディング、TV番組等、幅広い分野で活躍していらっしゃいます。1980年、日本最高ジャズメンを集めたウインドブレイカーズを結成し、このビッグコンボは結成来不動のメンバー、ライブスポット人気は更新中です。また、かつては大阪芸術大学音楽学科客員教授も務めておられ、昨年には文化庁長官表彰もされ、80歳の現在も第一線で活躍していらっしゃいます。特別賞の受賞は、長年の活躍が高く評価されたものです。


城田優さんは、2003年に俳優デビュー。TBSドラマ『ROOKIES』、テレビ朝日『交渉人』でブレイクを果たし、その後、NHK大河ドラマ『天地人』、NHK連続テレビ小説『純と愛』、日本テレビ『○○妻』等多数のテレビドラマ、映画に出演されています。舞台では、2007年に宮本亜門氏演出の『スウィーニー・トッド』、『テイクフライト』に出演の後、2010年、小池修一郎氏演出のミュージカル『エリザベート』にて史上最年少でトート役を演じ、第65回 文化庁芸術祭 演劇部門 新人賞を受賞しました。2011・13年に『ロミオ&ジュリエット』で主演。昨年『ファントム』では初の単独主演を務め、純粋さを兼ね備えた新しいファントム像が大きな話題を呼びました。また、2013年に出演した『4Stars』ではブロードウェイ、ウエストエンドのミュージカルスターとの共演を果たしています。本年は、5年ぶりに『エリザベート』に出演、6月から8月にかけて帝国劇場で上演される予定。その他、ディズニー映画『シンデレラ』で王子役の吹き替えと日本語版エンドソングを務めた他、福田雄一監督映画『明烏』へ出演するなど、幅広い分野で精力的に活躍されており、今回の受賞となりました。


上野通明さんは、2011年の岩谷時子音楽文化振興財団「第1回Foundation for Youth」の受賞者です。5歳よりチェロを始め、幼少期をスペイン、バルセロナで過ごし、数々のコンクールで優勝または入賞されました。2009年韓国スウォンで開催された第6回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際音楽コンクールに参加し、13歳で日本人初の優勝。2010年第6回ルーマニア国際音楽コンクール最年少第1位、ルーマニア大使館賞、ルーマニアラジオ文化局賞を併せて受賞。2012年第10回東京音楽コンクール弦楽部門第2位など、数々の賞を受賞。これまでに新日本フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、ロシア・シンフォニー・オーケストラ等国内外のオーケストラと多数共演。韓国KBSテレビ「クラシックオデッセイ」、テレビ朝日「題名のない音楽会」、NHKBS「クラシック倶楽部」、NHKFM「リサイタル・ノヴァ」等多くのメディアにも出演。現在桐朋学園大学音楽学部ソリスト・ディプロマ・コース全額免除特待生、毛利伯郎氏に師事されています。2014年には、オーストリア・ペルチャッハで行われた第21回ヨハネス・ブラームス国際コンクールチェロ部門第1位を受賞されるなど目覚しい活躍をされており、この度、奨励賞受賞の運びとなりました。


また、2011年からスタートし、今年で5回目を迎えた音楽・芸術を志す若い方々を応援する「岩谷時子 Foundation for Youth」には、ピアニストの鐵百合奈さんが選ばれました。藤井さんは、この春、東京藝術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻を卒業。2006年、ショパン国際ピアノコンクール・アジア大会 中学生部門で銅賞を受賞、2010年、日本クラシック音楽コンクール 高校の部第1位グランプリを獲得されました。また2013年には、藝大クラヴィーア賞を受賞すると同時に、第14回ローゼンストック国際ピアノコンクールで第1位を獲得。2015年3月の東京藝術大学卒業時には、アカンサス音楽賞、藝大クラヴィーア賞、同声会賞を受賞され、大学代表として皇居内桃華楽堂での御前演奏会に出演されました。現在、同大学院の音楽研究科器楽専攻ピアノ修士課程1年に在学中で、日々その実力を磨かれており、今後は国内外問わず広い活躍が期待されています。

審査委員<五十音順 敬称略>

川口 真(作曲家)
草野浩二(音楽プロデューサー)
都倉俊一(作曲家)

2015年5月27日 パレスホテル東京にて授賞式開催

授賞式
左から竹下景子、上野通明、前田憲男、岩谷時子(写真)、竹内まりや、城田優、鐵百合奈<敬称略>

「岩谷時子賞」を受賞された竹内まりやさん。ご自身と故岩谷時子の音楽で繋がった深い縁とご自身の音楽への影響について話されました。

「岩谷時子賞 特別賞」を受賞された前田憲男さん。故岩谷時子の音楽の思い出についてスピーチされました。

「岩谷時子賞 奨励賞」を受賞された城田優さん。ステージでは、自身がトート役を演じられたミュージカル「エリザベート」 より 『愛と死の輪廻(ロンド)』を披露され、その素晴らしい歌声に、惜しみない拍手が贈られました。

「岩谷時子賞 奨励賞」を受賞された上野通明さん。この日は和服姿で登壇され「文楽」をチェロで披露。西洋の楽器で、日本古来の音楽を表現するというその世界観に、会場全体が引き込まれました。

「岩谷時子 Foundation for Youth」を受賞された鐵百合奈さんは、ショパンエチュード作品.10-12「革命」を披露。数々の賞を受賞された力強い演奏で観客を魅了しました。