岩谷時子賞

岩谷時子賞

 岩谷時子賞の坂本冬美さんは、2009年1月7日発売の『まだ君に恋してる』が、ロングヒットを続け、有料音楽配信でも翌2010年には250万ダウンロードを記録。坂本さん自身、90年代半ばに挑戦したポップスへの扉を、素晴らしい歌唱力をもって再び開き、静かに人を思う気持を描いた作品として幅広い世代に支持されました。閉塞状況にある日本の音楽シーン全体に活気を与え、“うた”の持つ力を世に知らしめたというのが受賞の大きな理由です。
 奨励賞の藤本隆宏さんは、元競泳の花形選手であったという異色の経歴の持ち主でありながら、舞台で経験を積み、NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』で、広瀬武夫役に大抜擢されました。その演技力への評価と、今後の活躍に期待しての受賞です。
 市村正親さんは、1973年のデビュー以来、数々の大作ミュージカルに出演。岩谷時子が訳詞を手がけた作品にも数多く出演しており、その高い演技水準でミュージカル・シーンにはなくてはならない名優です。その長年の功績と、幅広いフィールドでの活躍に対して贈られました。
 鳳蘭さんは、宝塚歌劇団退団後も、ミュージカルを中心に数多くの舞台作品に出演。日本のミュージカル界を代表するエンターテイナーとしての活躍と、自ら「鳳蘭レビュー・アカデミー」を主宰し、後進の指導にあたるなどの貢献が評価されての受賞となりました。

 また今年度から新たにスタートした音楽・芸術を志す方々を応援する「岩谷時子 Foundation for Youth」には15歳のチェリスト・上野道明さん(現在、桐朋学園に在学中)が選ばれました。
 上野さんは『第6回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際音楽コンクール』他、数々の国内外の音楽コンクールで入賞し輝かしい成績を上げ、東京交響楽団や、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団らとも共演し、将来が大いに期待されます。



尚、第2回目の今年度は、当初3月に予定しておりましたが、東日本大震災をうけ7月に授賞式を延期、発表を行ないました。

審査委員<五十音順 敬称略>

川口 真(作曲家)
草野浩二(音楽プロデューサー)
都倉俊一(作曲家)

2011年7月20日 帝国ホテルにて授賞式開催

授賞式